みかんと骨粗鬆症
みかんを食べることで骨粗鬆症を予防できるかもしれないというお話です。
静岡県の三カ日町の住民アンケートで、みかんをほとんど食べない人達に比べ、1日にみかんを3-4個食べる人達の骨粗鬆症発症率が92%も低かったのです。ただこれには、もしかしたら、みかんをよく食べる人は良く運動をするとか、他の要因が影響している可能性もあるかと思われます。しかし、その後の追加の詳しい研究でも、みかんに多く含まれるβ-クリプトキサンチンとビタミンCの摂取量が多い人達は少ない人達に比較して骨粗鬆症の発症率が58%低下していました。
β-クリプトキサンチンは、カロテノイドという色素の一種で、ビタミンAに変換されます。β-クリプトキサンチンは、みかんに豊富に含まれていて、同じ柑橘類のオレンジでの含有量はみかんの1/10で、グレープフルーツにはほとんど含まれていません。ラット(ねずみの一種)の実験では、このβ-クリプトキサンチンが骨吸収(骨を壊す作用))を抑制する効果が認められています。また、ビタミンCは、骨の土台であるコラーゲン合成を高めます。
β-クリプトキサンチンには、変形性関節症の発症・進展の抑制効果、糖尿病の発症抑制効果、肝機能異常症発症抑制効果、動脈硬化発症抑制効果なども認められています。みかんの果糖で肥満になることを気にされる方もいるかもしれません。しかし、上記の研究でも、みかんをよく食べる人の肥満発症率が増加することもなく、逆に糖尿病のリスクを下げるのです。だが、ジュースの飲みすぎでは糖尿病のリスクを上げます。これは、ジュースを作る際にフィルターで食物繊維を除去してしまうからです。その食物繊維にβ-クリプトキサンチンも多く含まれます。できたら、生のみかんを1日に3から4個食べることをお勧めします。さらに、β-クリプトキサンチンは体に貯金することができます。冬にみかんで体に蓄えられたβ-クリプトキサンチンの血中濃度は、夏でもあまり低下しないそうです。
尚、みかんで骨粗鬆症を治療できるかは、これからの研究が必要です。

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